【お知らせ】土地利用変化が生物多様性に与える影響を世界規模で高精度に評価する研究成果が Environmental Science & Technology に掲載されました
当研究室の劉潤椏 研究員らの研究チームによる論文が、環境科学分野の国際学術誌 Environmental Science & Technology に掲載されました。
本研究では、将来の土地利用変化が生物多様性に与える影響を、ライフサイクルアセスメント(LCA)で活用可能な「被害係数」として、全世界0.25°四方の高解像度で算定しました。これにより、従来の国単位の一律評価ではなく、地域ごとの違いを反映した生物多様性影響評価が可能となります。
研究のポイント
本研究の主な成果は、土地利用変化による生物多様性への影響を、場所ごとに定量的に評価できる手法を開発した点にあります。
具体的には、土地改変の面積と地域ごとの被害係数を組み合わせることで、どの地域でどの程度、生物種の絶滅リスクが増加するかを評価できるようになりました。これにより、企業の事業活動やバリューチェーン、金融機関の投融資先における自然関連リスクを、より精緻に把握することが期待されます。
研究内容
近年、気候変動に加えて、生物多様性の損失や生態系サービスの劣化が重要な社会課題となっています。企業や金融機関においても、自然への依存や影響を把握し、経営戦略や情報開示に反映することが求められています。
一方で、生物多様性への影響は場所による違いが大きく、従来の国単位の評価では、原材料の生産地や事業拠点ごとの自然リスクを十分に評価することが困難でした。
本研究では、これまで開発されてきたLCAの影響評価手法を発展させ、土地利用変化によって生じる生物多様性への影響を、全世界0.25°解像度で算定しました。評価対象は6,569種であり、潜在的生息地予測モデルや気候・土地利用データを用いて、現在および将来の潜在的生息地を推定しています。
今後の展開
本研究成果は、企業の事業活動やバリューチェーンを通じた自然へのインパクト評価、金融機関の投融資・保険引受ポートフォリオ分析、TNFDなどの自然関連情報開示、自然の観点を含めた移行計画の検討などへの活用が期待されます。
今後は、実際の金融ポートフォリオを用いた分析や、ネイチャーフットプリントの機能拡張・精度向上を進めることで、企業や金融機関による自然関連リスクの把握と、ネイチャー・ポジティブに資する意思決定への貢献が期待されます。
論文情報
掲載誌:Environmental Science & Technology
論文名:Location-Based Damage Factors to Assess the Impact of Future Land-Use Changes on the Biodiversity Extinction Rate
掲載日:2026年6月24日
DOI:doi.org/10.1021/acs.est.6c02140
著者:Runya Liu, Haruka Ohashi, Akiko Hirata, Longlong Tang, Tetsuya Matsui, Kousuke Terasaki, Norihiro Itsubo ほか
掲載リンク:ACS Publications

